むずむず脚症候群を治す漢方薬の種類と効果・副作用

むずむず脚症候群を漢方的視点で捉えると、主に気と血の不調が原因です。漢方薬でも治せそうですが、人によって、年齢、主症状、随伴症状などが異なります。

そのため、漢方専門薬局の薬剤師に相談の上、最適な漢方薬を選んでもらうべきでしょう。

気と血の不調がもたらす「むずむず感」

漢方は中国生まれ、日本育ちの医療です。人の体は3つの要素(気、血、水)で構成されると考え、そのバランスを保つことに重点が置かれます。気とは体を支える原動力で、不調をきたすとイライラや不眠などが起こります。

血とは体を支える栄養源で、不調をきたすと貧血や肩こりなどが起こります。水とは体に潤いを与えるもので、不調をきたすとむくみやめまいなどが起こります。むずむず脚症候群とは、主に気と血の不調です。

漢方的に六淫の「風邪」に分類

漢方薬は特別な薬効を持つ生薬を症状に応じて処方調合した自然由来の薬です。厚生労働省もその効果を認めており、約150種類の漢方薬が保険適用されています。

ただし、漢方薬の治し方は「未病」が基本ですから、徐々に体質改善を図る場合に適しています。処方医は西洋薬と漢方薬を上手に使い分けていますが、自分に適した治療薬について、改めて相談するとよいでしょう。

むずむず脚症候群は男性よりも女性に発症する確率が高い疾患です。その理由は鉄分不足ドーパミン不足です。脳の鉄不足が長く続くと、神経伝達物質ドーパミンに機能障害が起こり、むずむず脚症候群を発症します。

たかが貧血、されど貧血です。貧血はむずむず脚症候群を発症する前兆です。漢方医学では人は六気という気候の変化を受け、その激しい変化が体の適応能力を超えると発病すると考えます。

それを六淫と呼び、タイプ別に風邪、寒邪、暑邪、熱邪、湿邪、燥邪と6つに分類します。むずむず脚症候群は症状的に知覚異常ですから、タイプは風邪に分類されます。漢方医学の風邪とはかゆみ、しびれ、ふらつきなどの症状を指し、一般的な風邪は寒邪に分類されます。

補血薬と去風薬の組合せが基本

むずむず脚症候群の治し方は一般的に血を補う生薬(補血薬)風邪を取り去る生薬(去風薬)が処方調合されます。血を補う生薬には当帰(とうき)や芍薬(しゃくやく)、そして阿膠(あきょう)や竜眼肉(りゅうがんにく)などがあります。

特に、竜眼肉は鎮静効果を持つので、イライラや不眠症を和らげます。風邪を取り去る生薬には防風(ぼうふう)、荊芥(けいがい)、薄荷(はっか)などがあります。

六味丸(ろくみがん)

地黄(じおう)、茯苓(ぶくりょう)、山薬(さんやく)など6つの生薬が配合されています。残尿感や頻尿、むくみ、かゆみ、しびれなどに使います。

当帰飲子(とうきいんし)

当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、防風(ぼうふう)など10種類の生薬が配合されています。特に、かゆみに使われる代表的な漢方薬で、かゆみや湿疹を抑えます。

桂皮茯苓丸(けいひぶくりょうがん)

桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、桃仁(とうにん)など5種類の生薬が配合されています。血液の流れを改善する漢方薬で、女性ホルモンの変化で発現する精神不安や精神神経症状などに使います。

加味帰脾湯(きみきひとう)

黄耆(おうぎ)、柴胡(さいこ)、竜眼肉など14種類の生薬が配合されています。虚弱体質や貧血、不眠症、精神不安などの改善に適します。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

当帰(とうき)の配合量が多く、動物性生薬の阿膠(あきょう)と補血作用のある黄耆(おうぎ)、党参(とうじん)が配合されています。主に、貧血や血行障害などの改善に利用します。

十全大補湯(じゅうぜんたいほたん)

黄耆(おうぎ)、桂皮(けいひ)、人参(にんじん)など10種類の生薬が配合されています。漢方の気も血も欠乏している人に向いています。気と血を補う代表的な漢方薬です。貧血、皮膚の乾燥、手足の冷えなどに使います。

副作用があるから漢方「薬」

漢方薬に「副作用がない」というのは誤りです。薬である以上、主作用と副作用が同郷しています。生薬ですから、副作用は少ないのですが、用法・用量を守らない場合や漢方薬が体質に合わない場合は副作用が発現することもあります。

その人の体質に合った漢方薬でも一時的に症状が悪化する副作用の一つ「瞑眩(めいげん)」が稀に起こります。瞑眩では一時的に高熱や下痢、発疹などの症状が発現します。その他、漢方薬の服用を開始して2週間から4週間経過した時に、間質性肺炎が発現することもあります。

主に、小柴胡湯(しょうさいことう)などで起きやすい副作用です。風邪に似た症状をしているので注意が必要です。甘草(かんぞう)には偽アルデステロン症という副作用があります。主成分グリチルリチンの過剰摂取が原因です。低カリウム血症になると、脱力感、しびれ、けいれんなどの症状が現れます。

桂皮、甘草、人参に要注意

むずむず脚症候群の治し方で効果のある漢方薬のうち、桂皮(けいひ)、甘草(かんぞう)、人参(にんじん)を含むものは要注意です。

桂皮茯苓丸(けいひぶくりょうがん)十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)には桂皮が配合されており、その副作用に発疹やかゆみがあります。

加味帰脾湯(かみきひとう)には甘草と人参が含まれており、甘草の副作用には血圧上昇、むくみなど、人参の副作用には発疹、かゆみがあります。

当帰飲子(とうきいんし)婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)には甘草が含まれているので、血圧上昇、むくみ、だるさを覚えるかもしれません。

医師や薬剤師は服用する人の体質を見極めた上で、生薬を配合した漢方薬を処方します。そのため、最初は軽い漢方薬を処方し、体がどう反応するか、試すこともあります。この時点の軽い副作用は想定内ですから、事前に伝えてくれます。

想定外の副作用は医師や薬剤師が体質を見誤る場合、要するに処方ミスで起こります。ですから、漢方薬の処方調合を依頼する際、むずむず脚症候群の症状と併せ、日常的に自分の体と生活で気になっていることをすべて話す方がよいでしょう。

一般医療(西洋医療)と同様、漢方医療でも信頼できる医師と薬剤師との出会いが重要です。漢方薬とは長いお付き合いになるからです。あなたのお眼鏡にかなう病院や薬局を探すべきです。