手・足・腰がむずむずする!むずむず脚症候群の原因は?

医療が発達した今日でも、むずむず脚症候群の原因は特定されていません。ですから、治療薬はパーキンソン病やてんかんの代用です。

原因が特定されるまでは原因と思われる不特定な原因に対する解決策を試すことになります。

かゆみの制御盤(ドーパミン)異常

不具合には何か原因があります。原因が特定できれば、解決策が見つかります。むずむず脚症候群の原因が特定できれば、新薬が開発され、不快な症状から完全に開放されます。

ですが、現在の医療は、「脳内の中枢神経で働く神経伝達物質ドーパミンの不活性が原因ではないか」というレベルです。人は体の外部と内部から「刺激」という形で情報を受取り、その情報を中枢(脳、脊髄)に伝達します。もちろん、そのままでは中枢に送られる情報量が多くなり、脳がパニックを起こします。

そのため、体に重大な影響を及ぼす情報とそうでない情報が自動的に取捨選択されています。つまり、外部から受け取るすべての刺激に対し、全身の神経センサーから脳に「今、刺激を受けました」と伝達し、「痛い」「かゆい」と感じるわけではありません。それでは、1日中「痛い」「かゆい」と感じ、仕事や家事に集中できないからです。

神経伝達物質の一つドーパミンは怪我や骨折など大きな刺激と下着や靴下などが肌に触れる小さな刺激を識別し、脳に小さな刺激を伝達しない働きをしています。この働きを下行性疼痛抑制と呼び、痛みやかゆみなど外部から受け取る刺激の交通整理を担っています。

本来、足下に痛みを感じてもおかしくないランニングやサッカーができるのも下向性疼痛抑制が活性しているからです。逆に、むずむず脚症候群はこの下向性疼痛抑制が不活性で、過敏に「むずむず感」を感じるものと考えられています。ドーパミンとその受容体はA11という神経核で生成され、脳や脊髄に供給されますが、生成工場の生産能力が低下していることもあります。

また、生成工場で十分な量が生成されていたとしても、出荷量(分泌量)が低下していることもあります。ドーパミンは脳に加え、脊髄神経や末梢神経の情報処理でも重要な役割を果たしています。脊髄のドーパミンが不活性でも足のむずむず感が起こります。それが一次性(突発性)の主な原因とされています。

少ない鉄分と多い家族歴(遺伝)

その他、一次性の原因として、鉄欠乏遺伝が挙げられています。鉄分は脳内でドーパミンを生成する上で、不可欠な栄養素です。この鉄分が不足すると、ドーパミンが生成されないので、下向性疼痛抑制が不活性となり、むずむず脚症候群を発症するのではないかと考えられています。

むずむず脚症候群の原因が遺伝という仮説は主に一次性の患者に当てはまります。患者のうち、家族にむずむず脚症候群がいる人の確率は約60%と高く、「遺伝説を否定できない」とされています。

現在、欧米を中心に仮説の実証研究が行われています。自分がむずむず脚症候群でなくても、家族にむずむず脚症候群の症状を訴える人がいれば、約60%の確率で発症する可能性があります。事前に予防策を講じるべきかもしれません。

貧血や抗うつ薬などが二次的トリガー

二次性(続発性)とは、他の疾患を原因にむずむず脚症候群を発症するケースです。主に、鉄欠乏性貧血や慢性腎不全(人工透析)、パーキンソン病、関節リウマチなどの患者が間接的に発症します。

その他に、抗うつ薬、抗精神病薬、抗アレルギー薬などの薬物療法が原因となるケースも報告されています。その誘発因子はカフェインやアルコール、ニコチンです。また、持続性の原因となる疾患には、鉄欠乏症貧血に加え、葉酸欠乏症、糖尿病、慢性腎不全、パーキンソン病、下肢静脈瘤、高コレステロール血症などが指摘されています。

特に、妊娠中の女性は約10%に発症するというデータがあるので、該当する人は要注意です。その理由はお腹の赤ちゃんに鉄分を含む血液が集中し、鉄分不足でむずむず脚症候群を発症するリスクが高まるからです。ほとんどの人は出産後、自然に治癒しますが、治癒しない場合は持続性に移行しているものと考えらえます。

子供の発症も鉄分不足が原因と見られています。成長期の子供は鉄分が不足しやすいからです。貯蔵鉄がゼロになると、発症するリスクが高まります。また、家族歴が多いことも報告されているので、子供が発症する原因の一つは遺伝に関係があると考えられています。

まずは診断の確定を優先

むずむず脚症候群は原因が特定されなくても診断は確定できます。適切な検査を受けて、診断を確定することが先決です。有効な検査には血液検査のほか、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)、アクティグラフ、下肢指示不動検査(SIT)があります。

これらの検査ができる病院を受診するべきです。むずむず脚症候群は「むずむずする」という生易しい疾患ではありません。QOL(生活の質)を著しく低下させ、精神的なストレスがうつ病の引き金にもなります。まずは症状を悪化させないことです。原因は特定されていませんが、一日も早く診断を確定し、あらゆる解決手段を試すべきでしょう。